対策に差が出るヒューマンエラーの向き合い方①

今回のコラムでは、企業間でのヒューマンエラーに対する見方・考えたといった向き合い方の違いについて解説を行います。

各企業間でヒューマンエラーに対する向き合い方には、大きな違いがあります。その違いはヒューマンエラーそのものの発見やその原因の追求力、そしてヒューマンエラー対策、事故防止にも大きく影響しています。特にヒューマンエラー対策で結果を残している企業とそうでない企業を比較し、結果を残している企業で共通する点をリストアップしますと下記の6項目があげられます。

1.ヒューマンエラーは発生することを前提で考えること
2.ヒューマンエラーの発生は他責ではなく、自責で捉えること
3.ヒューマンエラーは原因ではなく、結果として捉えること
4.ヒューマンエラー発生のメカニズムを理解した上で分析を行うこと
5.ヒューマンエラー対策は事後ではなく、事前に対応すること
6.事後の対応では本質の改善までを着実に行うこと

 

1~6.について順番にいくつか解説していきたいと思います。

1.ヒューマンエラーは発生することを前提で考えること

ヒューマンエラーのことを知れば、当然のように理解できることなのですが、ヒューマンエラーを起こすのは、「気が緩んでいるせいだ!」とか「気合が足らないからだ!」と考え、つい発言してしまう方がいます。これはヒューマンエラーの発生原因が追求し難いことや、信じ難いたいことが発生してしまうといったヒューマンエラーの特性によるものと感じます。頭で理解していても、ついそのように考え、発言してしまわないような注意が必要です。
もちろん、ヒューマンエラーを発生させない努力を行うことは必要です。ただ身の回りを見渡しても筆記用具で言えば、消しゴムや修正液、パソコンで言えば、「Back Space」や「Delete」キーを使わずに文章を作成することができるでしょうか?「使わずに文章を作成しなさい!」と言われたら、いかがでしょうか? 集中力は高まるでしょうが、過度のストレスを与えることにもなるでしょう。また良い文章ができるとは想像できません。そういった発言により逆効果に働く事の方が多くなると感じます。

2.ヒューマンエラーの発生は他責ではなく、自責で捉えること

ヒューマンエラーが発生したことに対して個人を責めるだけで終わっていてはいけません。これは1.にあったヒューマンエラーが発生するのは「本人の気が緩んでいるせいだ!」とするのは原因が一個人にあるとし、その解決を一個人にすべて委ねていることになります。つまり発生の原因追求ではなく、個人への責任追及だけでは、いつまで経っても改善は進まないでしょう。また問題が発生するたびに、モチベーションが下がり、生産性は更に落ちることになるでしょう。
個人を責めるのではなく、ヒューマンエラーを発生させることとなった原因を追求し、対策を打つことが必要です。
ある企業でヒュ-マンエラーが発生した時に、その発生させた人に対して感謝する企業があります。ヒューマンエラーが発生する前に、防止することができなかった自分達に責任があるという現れで、その自分達では気づけていなかったことを気づかせてもらえたことに対しての感謝ということです。
これは自分達がしっかりと分析を行い、完璧な状態とまではいかないが一定のレベルまでは改善できているという自負の現れなのです。
そのような企業では、ヒューマンエラーを発生させた本人の問題と環境や周囲の関わりの問題を明確に区分して、それぞれのポジションでの対策が実施できています。だからこそ何重もの、そして網羅的な対策が打たれています。

3.以降については次回以降のコラムで解説を行います。

< 2017年5月 代表取締役 内山 三朗 記 >