対策に差が出るヒューマンエラーの向き合い方③

今回のコラムでは、ヒューマンエラー対策で結果を残している企業で共通する6項目の『4.ヒューマンエラー発生のメカニズムを理解した上で分析をすること』について解説を行います。そして、今回は特に“人の情報処理プロセス”の視点で捉えたヒューマンエラー発生のメカニズムを解説します。

人の情報処理プロセスについて

人はまず入力情報を感覚器官で処理した後、知覚・認識し(入力過程)、新しい情報と記憶にある過去の情報を基に、判断、意思決定し(媒介過程)、動作の計画、遂行を行います(出力過程)。つまり人の情報処理のプロセスを図1のように、「入力過程」「媒介過程」「出力過程」の3つに分類することができます。

図1.人の情報処理のプロセス

ヒューマンエラーとは、『(本来の)目標達成に必要な認知・判断・行動プロセスから逸脱した人のプロセス』のことで、各過程(入力過程、媒介過程、出力過程)でのエラーを意味します。

次に図2をもとに各過程のエラーについて説明を行います。

図2.人の情報処理プロセスと各過程のエラー

入力過程のエラー

入力エラーといい、感覚、知覚、認知過程でのエラーとなります。
例えば、「聞き間違い」、「見間違い」がありまます。

媒介過程のエラー

媒介エラーといい、判断や意思決定過程でのエラーを言います。
例えば、「判断や記憶の間違い」があります。

出力過程のエラー

出力エラーといい、動作を計画し、実行する過程でのエラーを指します。
例えば、「言い間違い」、「ボタンの押し間違い」があります。

少なくとも今回、説明しました情報処理プロセスの中のどこの過程でエラーが発生したのか。また可能性があるのかを推測し、更にエラーが発生した要因を深堀する必要があります。今回のような「聞き間違い」「言い間違い」といった原因追求で終わっていては、真の原因追求には至っておらず、これに対して対策を打つとなると対処する範囲が非常に広くなってしまいます。現実的には一部の対策だけが打たれることとなり、再発する可能性が大きくなるのです。

ヒューマンエラー対策が効果的に現れない企業においては、今回解説した情報処理プロセスを意外と『知らない』、『活かさず(意識せず)』に原因を追求している場面を多く見受けます。その結果、「聞き間違い」「言い間違い」といった原因追求で終わってしまっているのだと感じます。
是非、上記の内容はヒューマンエラー対策の最低限の知識として、原因追求に活かして頂きたいと思います。

では各過程のエラーが発生する原因を更に深堀し、追求するためにも、もう少し“ヒューマンエラー発生のメカニズム”“人間の特性”について理解することが必要です。その内容を次回以降のコラムで解説します。

< 2017年6月 代表取締役 内山 三朗 記 >

上記コラムに関連する研修<研修パンフレット>

研修名:結果につながるヒューマンエラー対策