他責の思考は改善活動にどのような影響を及ぼすのか?

問題発見を行う際に、問題の発生原因やその対策を他人や他部署の責任にしてしまう場面をよく見受けます。そして、それは改善活動に限ったことではなく、日常の中でも同じようなことを見受けます。
つい自分が向き合っている問題を他人や他の組織の責任にしてしまう。これは人として誰しもが多かれ、少なかれあることではないでしょうか。私自身もつい自身に起きている事を、他人のせいにしてしまっていることがあります。

この他人や他部署の責任にしてしまうこと“他責”を皆さんはどのように考えますか?

“自分自身がつい他人のせいにしてしまうこと”。そして逆に、“周りの人から自分自身のせいにされてしまうこと”について。
ちなみに、他責の逆は“自責”であり、“自責”とは、自分自身に問題発生の原因があると考え、対策を打つことに責任を持つことを言います。

今回のコラムより数回に分けて、この“他責”による思考が改善を進めて行く上で、どのような影響を及ぼすのか?そしてそのような他責の思考となってしまう経緯やその対策について考えていきたいと思います。まず最初に、皆さんの周りではどのような“他責”が発生していますか?改善活動を進める上でよく出現する他責には下記のものがあります。

・社員が上司や会社に対して、他責にするケース
・自身の工程より前の工程(上流工程)に対して、他責にするケース
・上司が部下に対して、他責とするケース

そして、それらの“他責”による思考が改善を進めて行く上で、どのような影響を及ぼすのでしょうか?

他責の思考で改善活動を進めた結果

1.問題を発見した後、その対策実施が至り難い、放置される

2.例え、対策が実施されても、その効果が現れ難い

3.更に、改善により出ていた効果もいつのまにか消えてしまう

4.上記の結果、改善活動が一過性となり、継続することができない

他責による思考で発信された問題は、解決するのに時間がかかる傾向にあり、また解決されないまま放置されるケースも少なくありません。例え、その対策が打たれ、効果が出たとしても、効果そのものが十分に現れないことがよくあります。これは問題を発信した側が、効果に気づけていないことが原因でもあります。そして、そのような気づき難い効果は、時間と共に消えてしまいます。
以上の結果、改善効果が出にくい、出たとしても気づかれにくいこともあり、改善実行に対しての成功体験が得られず、時間やお金をかけた割には、効果が出なかったとして認識され、改善行動が一過性になってしまうのです。

結論としては、他責の思考による改善アプローチは、本来の改善活動の目的である効果を出すことや、継続的に改善を行い、効果を出し続けることには良い影響を及ぼさないと言えます。

身の回りで改善を取り組むが長続きしない、本当に効果が出ているのかがわからないなどといった現象がある場合には、他責の思考にて改善が行われていると疑って良いのかもしれません。

それでは、なぜ他責の思考となってしまうのか?次回のコラムより、この他責の思考に至る経緯と今回説明した他責の思考による結果との関係について、解説を行いたいと思います。

< 2017年8月 代表取締役 内山 三朗 記 >