他責の思考はどのような経緯で生まれるのか?
前回のコラムでは他責の思考が改善にどのような影響を及ぼすのかについて記載しました。結論としては、他責による思考は、改善活動の目的である効果を出すことや、継続的に改善を行い効果を出し続けることには、良い影響を及ぼさないと結論付けました。
今回のコラムでは、なぜ他責の思考となってしまうのか?“他責の思考に至る経緯”について考えていきたいと思います。
他責の思考となる経緯は様々ありますが、その中でもよく見受けられるケースとして、下記の経緯があります。
<他責思考となる経緯>
1.問題そのものの意味を理解していない
2.よって、問題を正しく認識することできない
3.認識した問題が漠然とした状態で対策案を検討する
4.それらの結果、問題発生の原因や対策実施の責任追及だけに意識が集中してしまう
<1~4の他責思考の経緯について>
自分自身では問題と認識していることも、実は問題として正しく認識できていないことが多々あります。そしてそのことを本人が気づいていないことをよく見受けられます。“問題”ということの意味を理解せず、問題認識において本来押さえておくべきことが欠如した状態では、認識した問題は見誤りや偏りがあったり、漠然としたりと真の問題を見失ってしまいます。
そしてそのような状況で対策案を検討すると、対策案ももちろん同様に見誤りや漠然としたりします。
例えば、
「会社の設備が“古い”から “新しく”する」
「会社の設備が古い」といった問題認識から立案された「新しくする」といった対策は、問題認識、対策案ともに漠然としています。そして、対策は自分自身で対応できる範囲を超えてしまい、上司や会社に依頼するといった他責の内容となってしまいます。極端な事例と思われるかもしれませんが、類似することはいたるところで日常的に発生しています。
そして、このような内容の対策は対応しにくく、その結果「問題提起をしたのに対応してもらえなかった」と問題発生の原因や対策実施の責任追及だけに意識が集中してしまうのです。
図1.問題の発生原因と対策実施の責任追及
図のイメージ:問題そのものにスポットが当たるのではなく、自責か他責かといった責任追及にスポットライトが当てられています。
次回のコラムでは他責思考にならないための問題認識のアプローチについて解説を行います。
他責の思考にならないために大切なことは、自分自身の思考が他責になっていることに気づくことです。そしてその思考によりどのような効果があるのかを知ることが大切です。意外と自分自身が他責思考になっていることに気づいていない方が多くいます。自分では他責にならないように意識しているつもりでも、他人から指摘されて初めて気づくケースもあります。
弊社の研修やコンサルティングプログラムには、この他責思考を含め、問題解決が成果につながらない阻害要因が何か、自身の思考プロセスにどのような課題があるのかを気づかせる“しかけ”があります。自身の思考パターンの傾向やその中での強み・弱みを客観的に評価できるしくみもありますので、ご興味がございましたら、是非お問い合わせください。
< 2017年8月 代表取締役 内山 三朗 記 >