他責思考の連鎖(他責思考の根底にあるもの)
<他責思考の根底にあるもの>
前回のコラムにでは、他責思考による問題認識を改善する方法を解説しました。前回の手順により問題解決は進み、その中で成功体験を得ることにより、他責思考を改善することができるでしょう。しかし、個人の中や組織の中に他責思考を誘発する原因がもし明確に存在するとすれば、その原因を解消しなければ本質的な改善には至らず、他責思考を繰り返し誘発することとなるでしょう。他責思考を誘発する原因とは何でしょうか?
例えば、
・発生した問題よりも発生させた個人が責められるような職場の場合
・プロセスよりも結果だけが評価され、対策を打つことが重視される職場の場合
・社員が理解・納得できる評価のしくみがなく、公平に評価されていないと感じている場合
・仕事量が自分のこなせる量をオーバーしている場合
・自身と他人や他部門との仕事の線引きを行い、自身の仕事のパフォーマンスは質・量ともに大きな問題が無いと考えている場合
・また自身に与えられる仕事は、完璧とまではいかないが、自身が期待する一定の品質の状態で与えられるのが当たり前と考えている場合 等々
他責の思考となる原因は、職場の風土やしくみ、上司の部下に対する関わり方、そして、個人の仕事に対する考え方や向き合う姿勢、更に深層心理に働きがける適応機制(以前のコラムに掲載)があります。
<他責思考は企業や個人の状況を示すバロメーター>
状況に応じて都度、表面的に現れる他責思考は現状の実態や将来の企業の発展やそのための人材の成長の期待度を図る“バロメーター”でもあります。決して他責の思考である“個人の問題”とするのではなく、その要因を探り本質的な問題の解決を行いましょう。そのことにより、組織内が活性化したり、個々人の成長を促すことができるでしょう。
<他責思考の連鎖について>
他責による思考は新たな他責の思考を生み出します。他責として、他人に依頼し改善してもらったことは、当事者意識が欠如しているため、受け身となり、改善内容に対して評論家となってしまいがちです。そのため改善内容の落ち度に目が向いてしまい、新たな他責の思考を生み出してしまいます。しかし自責の思考で改善した場合には、自身で改善したという自負や責任感が働くため、改善内容に落ち度があった場合にも、更に自分で工夫をして改善を自らが行うといった自責の姿勢へとつながります。
つまり、他責の思考は新たな他責を生み出し、“他責の思考は連鎖する”ということ。逆に“自責の思考も同じく連鎖する”ことが言えます。この連鎖には“自身の思考の中での連鎖”もあれば、“人から人への連鎖”も存在します。
是非、自身の中での他責思考を断ち、それを自身の中で、そして組織の中での自責の連鎖につなげたいものです。
< 2017年9月 代表取締役 内山 三朗 記 >