指標(ものさし)構築の目的とは
物事を判断したり、評価したりするための尺度となる指標について、皆さんの職場にある指標を思い浮かべた時にどのようなことが思い浮かびますか?
私自身が新卒で入社した企業では、生産の流れにあわせ、組織が形成されているのですが、前後工程の組織でそれぞれ管理に用いている指標が異なり、前後工程で目指す方向が異なり、噛み合っていないと感じていました。そして指標のあり方ひとつで、ここまで社員の意識や行動に影響を与えるものかと感じたのを覚えています。
皆さんの職場にある指標はしっかりと機能していますか? 本来の目的を果たし、その効果は出ているでしょうか? 今回より数回に渡って、指標を経営活動に上手く活用できている職場や逆に指標はあるが、上手く活用できていない職場、そもそも指標そのものもなく、いかに指標を構築していくか悩んでいる企業までいくつかの事例とともに、指標を構築する目的やその構築にあたり重視するポイントなどについて解説を行います。
<指標構築の目的とは>
物事の結果は、必ず何らかの形で評価をされる運命にあります。そして企業活動も何らかの尺度で評価される必要があります。その企業活動の評価を行うための尺度には、どのようなものがあるのでしょうか。財務会計や管理会計に用いられているもの、業界内に一般的なもの、各企業や職場内で独自に決めたもの等、目に見える形での尺度もあれば、個々人の価値観と言った目に見え難く、共有が難しい尺度もあります。
指標構築の目的とは何でしょうか?
共通の尺度となる指標を構築する目的は、意思決定やコミュニケーションの効果や効率を高めることにあります。つまり、意思決定やコミュニケーションの質およびスピードを向上させることにあります。そしてこれらの意思決定やコミュニケーションの質やスピードが向上することにより、更なる効果が期待できるのです。例えば、正しく、公平に評価することにより、人のやる気を引き出し、職場を活性化することも可能となります。逆に指標ひとつで人のモチベーションを下げてしまうこともあります。人の意識や行動変革を正しい方向に促してはじめて、指標を構築することの意味が成すのです。
グローバル化や働き方の多様化が進む中、個々人の価値観はこれまで以上に多様化しています。その中で、“共通言語”として指標がもたらす“数値(定量データ)”が果たす役割は非常に大きいと言えます。
“数値(定量データ)”には次のような効果があります。
①万国共通なので人による認識のズレが発生しにくくなる
②2つ以上の事柄を比較しやすい
③目標と問題との比較が明確になり、その差である問題が更に明確になる
④優先順位付けがしやすくなる
⑤根拠のある意思決定ができるようになる
⑥意思決定の内容やコミュニケーションの内容に説得力や信頼性を持たせることができる
⑦組織のベクトルを合わせやすくなる
もし職場の指標がどうも機能していない場合には、今一度、指標を構築し、それを運用することの目的を職場内で意見を出し合い、共有してみるのも解決策のひとつとなります。
次回は、指標を構築する際のポイントについて解説を行います。
< 2017年11月 代表取締役 内山 三朗 記 >