指標構築のポイントとは

指標の必要性は理解されているものの、構築する段階で断念してしまったり、指標が構築できていたとしても運用段階で十分に目的が果たせずに、形骸化していることをよく見かけます。それらの主な原因は、指標を構築すること自体を目的とした結果であると感じます。つまり指標を構築し、運用することの目的を熟考することなく、またそれらを組織内で十分に共有することなく、先を急いだ結果にあります。これらの状況も踏まえ、経営活動を活性化させる指標をどのように構築するのか、そのポイントについて今回のコラムでは解説します。

指標構築のポイントとは

1.指標の目的を明確にすること
2.指標を構築する段階と運用する段階を区分し、それぞれの目的とその手段を明確にすること
3.指標は企業の経営や職場の状況にあわせフレキシブルに変化させること

 

1.指標の目的を明確にすること

指標そのものの目的については、前回のコラムでも述べましたが、要約すると下記の通りです。
指標を構築する目的は、意思決定やコミュニケーションの質およびスピードを向上させることにあります。そしてこれらにより、人のモチベーションの向上や意識や行動変革を促すことこそが経営活動を活性化させる指標作りの目的です。

指標の目的を職場内でどれだけの方がどのように認識されているか、確認したことはありますか?

 

私自身の経験で言えば、たいていの場合、管理・監督者や従業員によってその認識は異なっており、正確に認識している方はわずかです。また指標の目的など考えたことすらない方が大半を占めています。このようなことが指標の構築や運用が上手く進まない原因のひとつとして考えられます。

 

2.指標を構築する段階と運用する段階を区分し、それぞれの目的とその手段を明確にすること

指標にはそれを構築する段階と運用する段階があり、それぞれに目的があります。それぞれの目的を明確にし、その手段で最適なものを選択することが必要ですが、構築段階では目先の“構築すること”だけが目的とされがちです。しかし、この構築段階こそが後々の運用段階の人の意識や行動改革に大きな影響を与えるのです。

指標を構築する際には、企業がおかれている環境や自社・自部門の経営状況等、まずは実態把握することが不可欠です。その中であるべき姿と現状のギャップを認識し、自社・自部門の問題や課題を洗い出し、整理していきます。更に、その問題や課題に適合した指標の対象の選定やその対象となる個々の事柄のあるべき姿や基準を数値化します。また限定的とはなりますが、現状も数値化されます。つまり指標の構築段階にて、職場の仕事に目を向け、あるべき姿と現状を明確にすることにより、自身の仕事の中で何が問題であるのかを見つめなおすことができるのです。指標の構築段階において、いかに自身の問題の気づきを与えるか、その具体的な方法については割愛しますが、非常に重要であることに間違いはありません。この段階を単に指標を構築することだけに邁進していては、本来の目的を果たせずにいることになり、また指標が構築した後の運用段階に期待する目的を果たすことも遠のいてしまうのです。

次回は、“3.指標は企業の経営や職場の状況にあわせフレキシブルに変化させること”について解説を行います。

< 2017年12月 代表取締役 内山 三朗 記 >