標準化のポイント③
今回は“標準化のポイント”の『3.決めたルール(基準)を理解・納得させる』に続き、『4.頭で理解したルール(基準)を守れるようにする』について解説を行います。
前回のコラムにも記載しましたが、標準化のポイントの3.のあたりからその推進が現場任せになりがちで、企業や組織間で大きく差が生まれています。5S活動や業績改善活動、そして職場のコミュニケーションに至るまで、あらゆることが上手く進まない共通の本質的な課題が存在します。そして逆にこのポイントが上手く推進できている企業はどのような切り口やテーマで取り組んでも成果につなげることができます。
<標準化のポイント>
1.ルール(基準)を決める
2.ルール(基準)を決める際は、現場の衆知を盛り込む
3.決めたルール(基準)を理解・納得させる
4.頭で理解したルール(基準)を守れるようにする
5.定期的にルール(基準)は見直し、1.に戻る
4.頭で理解したルール(基準)を守れるようにする
頭で理解したルール(基準)を守れるようにするとは“訓練”を意味します。そして “教育”と“訓練”では、意味が異なり、“訓練”とは、頭で理解したことを実際に体を動かし、経験を基に体得させることです。ルール通りに実際に実行できるか、訓練を通して評価し、再教育の必要性や反復により習熟させていくかを判断します。
<教育・訓練段階で浮上してくる問題①>
教育したことが現場で実行されていない。
教育する側は相手に伝えたつもりでも、十分に相手に伝わっていなかったり、教わる側も理解したつもりでも理解できていないことがあります。また頭では理解していても実行できないこともあります。それぞれの原因には、コミュニケーションの問題や教育と訓練の違い、その他、様々な原因が考えられます。そして根本的な原因は、教育したこと、伝えたことが実際に実践できるかの確認や評価を実施していないことにあります。一定時間の教育を実施し、後は「わからないことがあったら、質問するように!」と教える側から教わる側へ一方通行の教育となっているためです。これらの解決策として、教育と訓練を区分し、それぞれの段階で何を教育し、何を訓練するのか。そして、それぞれの段階で何を評価(目標と)するのか?更に、教育・訓練には一定の期間や時間を要するものです。その期間を区切り人の成長を評価(目標と)することが教育する側、教育される側、双方の動機付けにもなります。これらを着実に実践することで、新人を受け入れることが職場の活性化につながり、職場の生産性は向上します。また離職率の低下にもつながります。
<教育・訓練段階で浮上してくる問題②>
日々の業務をこなすことが優先され、教育・訓練が二の次になってしまう。
教育・訓練が現場で実践できない。これは様々な原因があります。上記の①の内容もその原因の一つです。その他の原因として、どのくらい教育や訓練に時間を要するのかが、未知数で見積もできないために、日常業務と教育・訓練を考慮した業務計画が正しく組めず、ほとんどが現場任せになっているためです。この対策としては教育・訓練そのものの標準化により、教育・訓練の所要時間を割り出すことです。教育・訓練の必要性は誰しもがその必要性を感じています。その場しのぎの対応にならないようにしたいものです。
続きは次回のコラムにて解説を行います。