標準化の推進

人手不足はあらゆる業界や企業で喫緊の問題となっています。そして、中小企業では更に深刻で人手不足が原因で倒産するといった“人手不足倒産”の件数が増加傾向にあります。今後更に15~64歳の生産年齢人口が減少する中、外国人労働者の受入れや女性活躍の推進など、採用人材の多様性に加え、職場の労働生産性を向上させていくことが不可欠です。

<ある人手不足状態の企業では>
働き方改革による残業の上限規制が進み、これに並行して労働生産性の向上に取り組むがその効果が追随できず、これまでの人員では仕事がこなせなくなりました。そこで人の採用活動を行うが、人は集まらず、集まったとしても定着せずにすぐに離職してしまう。そうすると職場での新人受入のための負荷が必要以上に高まり、ただでさえ忙しいのに、更にその負担が既存社員にのしかかります。
優秀な社員に仕事が偏り、目先の業務をこなすことで精一杯という状況に陥り、トラブルも発生しやくすくなり、その対応に振り回される状況になりました。
残業規制の中、その受け皿となるのが、幹部や管理職となり、最悪、優秀な社員や管理職が疲弊し、第一線から退いたり、離職してしまったりと逆に戦力が落ちてしまうといった悪循環になっています。

人手不足の解決策

このような課題の特効薬はあるのでしょうか。企業イメージや人の採用面を含め、複合的な対策が必要です。その中でも自社ですぐにでも取り組める解決策の一つとして、今回取り上げる標準化があります。

標準化を取り組むことにより、下記の課題を解決することが可能となります。

・新しく採用した人の定着率を向上させること

・受入れ側の新人育成の負荷を低減させること

・労働生産性を高めること

“標準化”と聞いた時にどのようなイメージを持ちますか?

標準類を作成するのに多大な時間をかけた割には、職場では十分に認知されず、机の引き出しの肥やしになっていることはないでしょうか?ISOなどの外部審査を受けるための標準書類。標準化を行うことの目的を見失い、手段が目的化されていませんか?

標準化なくして職場の安全、品質、効率を維持することは不可能です。もし維持できているとすれば、それは各社員の属人的な能力によるものか、維持そのものができているという過信や思い込みの可能性があります。標準化は仕事の基本であり、職場内のコミュニケーションや規律の状況を表すバロメーターでもあります。標準化の状況やその推進方法に企業の実力が表れます。もしその実力があれば人手不足の解決にも十分つながるでしょう。

次回のコラムより、標準化のポイントやその進め方について解説を行います。

上記コラムに関連する研修<研修パンフレット>

研修名:標準化活動の活性化研修<現場で“実際に活かされる”標準類の整備>